Project Management Institute(PMI)が実施するプロジェクトマネジメントの資格「PMP(Project Management Professional)(R)資格」は、3年ごとにその資格を更新するしくみとなっています。
PMP(R)は、一度取得したら、一生保有できる資格ではありません。
資格を更新するためには、プロジェクトマネジメントの専門家としての専門知識の学習、専門能力の開発、その能力を活用したボランティア活動など、専門家として能力を切磋琢磨することが求められます。
この資格維持に関するしくみは、CCR(Continuing Certification Requirements)プログラムと呼ばれます。
更新制度をもつ資格ゆえに、PMP(R)は、世界においてプロジェクトマネジメントの専門家として認知されるのです。
PMP(R)試験に合格したら、合格日から丸3年ごとが資格更新のタイミングとなり、その期間ごとに少なくとも60PDU(Professional Development Units)を取得する必要があります。
この3年ごとの更新期間は、CCRサイクルと呼ばれます。
PMP試験合格日 | 2010年9月15日 | ||
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CCRサイクルの開始日 | 2010年9月15日 | ||
CCRサイクル終了日(資格停止日) | 2013年9月15日 | ||
次期のCCRサイクルの開始日 | 2013年9月15日 | ||
次期のCCRサイクルの終了日(資格停止日) | 2016年9月14日 | ||
資格停止期間 | 2013年9月15日~2014年9月14日 | ||
資格失効日 | 2014年9月15日 |
※CCRサイクル終了日までにPDUを取得し、資格更新を行わないと、1年間の資格停止となります。
もちろん入札の際に名前を使うこともできません。
この資格停止期間の1年間に60PDUを取得し、資格を更新すれば、その時点から資格保有者となり、PMP(R)と名乗ることができます。
つまり、資格失効まで1年間の猶予期間があるということです。
1年間の資格停止期間を越えてしまうと資格失効となります。PMP(R)資格保有者となるためには、再度、資格試験の申し込みを行い、受験する必要があります。
PDUは、PMI(R)が認めるプロジェクトマネジメントに関する学習や専門家としての活動を測定する単位です。活動に使った1時間が1PDUに相当します。
PDUは0.25単位、つまり15分の活動から対象になります。
例:PDUの対象となる活動に30分間従事したら、0.5PDUとなります。
CCRサイクル期間に60PDU以上を取得した場合、最後の1年間(3年目)に取得した20PDUまでを次期CCRサイクルへ持ち越すことができます。
ケースA | ケースB | ケースC | |
---|---|---|---|
1年目 | 30 | 20 | 20 |
2年目 | 40 | 20 | 20 |
3年目 | 0 | 30 | 60 |
合計 | 70 | 70 | 100 |
PDU持越し | なし | 10 | 20 |
教育 (取得数の制限なし) | 専門性への還元(ギブバック) (3年間のCCRサイクルにて最大45PDU) |
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PMIのREP、支部、コミュニティが | 新しいプロジェクトマネジメント知識の提供 (著作、セミナー講師、カリキュラム作成等) |
継続的な教育 | ボランティア・サービスへの従事 |
自主学習 | プロジェクトマネジメントに関する専門家としての仕事への従事 |
PDU対象の活動を実施したら、活動を証明する書類を保管しておきます。
PMI(R)から監査対象として無作為に選定され、活動の実施を証明する文書の提出を依頼されることがあります。CCRサイクル終了後18か月間は文書を保管してください。
PDU対象の活動はさまざまあり、それらはカテゴリA~Fに分類されています。
まずは、3年間で60PDU取得するための計画を立てましょう。
カテゴリをうまく組み合わせることで、安価にPDUを取得していくことができます。
「ギブバック」のカテゴリの活用によって、あなたのPMP資格維持のコストが大きく変わり
ます。PDUを安価に取得したいのであれば、ギブバックの利用なくして成し遂げることは難しいです。
まずは、ギブバックの内容を理解してください。
プロジェクトマネジメントに関する
PMI支部やNPOのプロジェクトマネジメント組織での役員としてのボランティア・
サービス
そこでのボランティア活動
会社の部下、同僚などにプロジェクトマネジメントに関するメンタリングやコーチングの実施など
プロジェクト・マネジャーとしての実務
※カテゴリFは、CCRサイクルで最大15PDUまでです。
監査対象となった場合には、これらの活動を証明する書類の提出が求められますので、証明できるものを用意してください。
例えば、最初の2年間で80PDU取得して、3年目の取得がない場合、20PDUを持ち越すことはできません。
逆に、最初の2年間の取得がゼロ、3年目で一気に80PDU取得したら、余った20PDUを持ち越すことができます。
いくらPDUを取得したとしてもCCRサイクルの3年目に取得していなければ、せっかく労力・時間・コストをかけて取得したPDUも持ち越すことができません。
また、3年目に一気に取ろうとしたものの仕事が忙しくその暇がないというような状況に陥ることもあるでしょう。
毎年コンスタントに取得するのが理想です。しかし、駆け込み取得の状況に陥った場合は、PDUにかかる時間と労力をお金で買う、つまり研修を受ける選択肢があります。
最近は、Webinar、Eラーニングなど安価にPDUが取得できるプロダクトがあります。
それらを検討してみるのもよいでしょう。
弊社のプロダクトでは次のものをご用意しています。
TenStep Webinar(毎月1回)←本国のWebinarになります。
教育は、「プロジェクトマネジメントに関する学習」を行う活動が含まれます。
研修機関が提供する研修や自主学習を通して、プロジェクトマネジメントの知識・情報を向上させる活動が評価されるものです。
トレーニング会社が実施する研修やREPが実施するPMフォーラム、PMコングレスが典型的なものです。多くの人が、この教育活動を使ってPDUを取得しています。
教育活動の中では、トレーニング会社が提供する無料Webinarや低価格でのEラーニング、特に自主学習によるPDU取得は、気軽にPDU取得としてお勧めです。
自主学習は、その名称通り、個人による教材や専門書を使っての勉強、また会社やサークルなどのによる公式な学習グループでの勉強会なども含まれます。ただし、自主学習は3年間で30PDUまでの取得制限があります。
PMIにREPとして登録されている組織がPMIに研修プログラムとして登録していれば、その研修内容の質が証明されたものとして、プログラムIDが付与され、特定された時間数がPDUとして登録できます。
プログラムIDを持っている研修であれば、必ずPDUとして登録できるものとして保証され
ます。
受講した際には「PDU受講証明書」等の名称で受講書が発行され、そこにREP-ID、プログラムIDが記載されています。
REPが実施する研修が必ずしもPMIにプログラム登録されているとは限りません。その場合にはプログラムIDがありません。
REPに登録していない組織でもプロジェクトマネジメントに関する研修を実施している組織は多々あります。それらの組織が実施する研修を受講した場合は、カテゴリBとして申請します。
プロジェクトマネジメントに関する内容であれば、申請は可能です。これも手軽にPDUとしてお勧めです。
ただし、証明書としては、次のものの用意が必要です。
個人が行うプロジェクトマネジメントに関する研究や勉強が対象となります。
自己学習では、
が求められます。
適切な教材(書籍等)があり、それをもとに学習を進めれば、安価にPDUを取得することが可能です。ただし、3年間のCCRサイクルにて最大30PDUの取得制限があります。
学習としては次のものがあげられます。
監査対象となったときには、学習を証明するものとして、読書、議論などを行った日付、メモ、学習事項などを報告することが求められています。
PMDIで発行する書籍は、プロジェクトマネジメントの最新の動向を反映したものです。これらの図書を使って学習していただければ、カテゴリC自主学習として、申請可能な内容です。
では、どのようなパターンで取得すればよいでしょうか。
首都圏に住む場合、地方に住む場合で2つのPDU取得パターンを作成してみました。
首都圏に住み、システム開発のプロジェクト・マネジャーとして仕事に従事。CCRサイクル3年目に入り、仕事が急激に多忙になる。60PDUまであとわずかに足りないことに気づき、急きょEラーニングを受講。
年数 | カテゴリ | 内容 | PDU | 累積 |
---|---|---|---|---|
1年目 | カテゴリA | TenStep無料ウェビナーの受講(1時間x2回) | 2 | 2 |
カテゴリA | PMIJ月例セミナーへ出席(有料)(2時間x2回) | 4 | 6 | |
カテゴリC | 書籍「PMBOK(R)ガイド・マニュアル」の学習 | 10 | 16 | |
カテゴリF | プロジェクト・マネジャーとしての勤務 | 5 | 21 | |
2年目 | カテゴリA | PMIJ月例セミナーへ出席(有料)(2時間x2回) | 4 | 25 |
カテゴリA | TenStep無料ウェビナーの受講(1時間x2回) | 2 | 27 | |
カテゴリC | PMに関する社内論文の査読(5時間) | 5 | 32 | |
カテゴリF | プロジェクト・マネジャーとしての勤務 | 5 | 37 | |
3年目 | カテゴリA | PMI日本フォーラムに出席(有料)6時間 | 6 | 43 |
カテゴリF | プロジェクト・マネジャーとしての勤務 | 5 | 48 | |
カテゴリA | 日本テンステップのEラーニング「エッセンス・ | 16 | 64 |
合計:64PDU取得、うち4PDUは次期CCRサイクルへもちこし。
毎年1回は有料セミナーへ参加し、PDU取得。またPMに関する先端情報を得るために米国研修会社の無料セミナーも活用する。最終年度に足りないPDUをEラーニングで補充したケース。
有料研修の受講は4回、その他の費用としては、書籍代
セミナーの機会が少ない地方に住む組込みソフトのエンジニア。携帯電話開発のプロジェクトマネジメント業務に携わり、数少ないPMP(R)の同僚と共に社内にPM教育、およびPMO設定を検討中。
年数 | カテゴリ | 内容 | PDU | 累積 |
---|---|---|---|---|
1年目 | カテゴリA | PMシンポジウムに出席(有料)(6時間x1回) | 6 | 6 |
カテゴリC | 書籍「戦略的プロジェクト経営」の学習 (10時間) | 10 | 16 | |
カテゴリF | プロジェクト・マネジャーとしての勤務 | 5 | 21 | |
2年目 | カテゴリA | 日本テンステップのEラーニング「エッセンス・ | 16 | 37 |
カテゴリC | 「戦略的プロジェクト経営」を教材として同僚とPMOのあり方についての継続的な討議・勉強会 | 8 | 45 | |
カテゴリF | プロジェクト・マネジャーとしての勤務 | 5 | 50 | |
3年目 | カテゴリC | 「PMBOK(R)ガイド・マニュアル」を教材として、社内のPM勉強会(2時間x4回) | 8 | 58 |
カテゴリF | プロジェクト・マネジャーとしての勤務 | 5 | 63 |
合計:63PDU、うち3PDUは次期サイクルへもちこし
カテゴリAのEラーニング(有料)、およびカテゴリCの自主学習を効果的に活用したケース。
有料研修の受講は2回。その他の費用としては、書籍代
PMIが認定する複数の資格保有者の資格更新
PMP(R)と(PMI-ACP) SMをもつ場合
CCR期間にPMP(R)は60PDU、(PMI-ACP)SMは30PDUが資格更新に必要です。
この2つの資格をもつ場合、CCRサイクル期間にPMP(R)の資格更新に必要な60PDUを取得し、更新することができます。
60+30=90PDUを取得する必要はありません。
PMP(R)と(PMI-ACP)SMのPDUの対象となる活動が異なるので、その点は注意してください。
上記の場合、2つの資格のCCRサイクルを整合させる必要があります。
既存の資格のCCR期間を新規の資格に合わせて、先送りする。
この場合、新規の資格取得前に獲得したPDUが無効となります。
新規に取得した資格のCCRを既存の資格に合わせて、前倒しにする。
この場合、新規に取得した資格維持の対象となる活動においてのPDUの取得が必要です。
本資料は、以下の参照資料を基に作成したものであり、内容、翻訳に関する正確さを保証するものではありません。
PMP Credential Handbook revised 24 September 2012
PDUを取得したら、次にPMIのオンライン・システムを使ってそれを登録します。
PMI本部のホームページは英語のサイトであり、さまざまな情報があり、登録のやり方ががよくわからないという方も多いようです。
http://www.pmi.org/Professional-Development.aspx
こんな感じの画面で、右上に【Login/Register】が表示されます。
このUsernameとPasswordはPMP試験を申し込む際に付与されています。
忘れてしまった場合には、I forgot my username、または I forgot my passwordをクリックしてください。
【Username】と【Password】を入力します。
登録しているEメールアドレスに通知が来ます。
username,passwordのどちらとも忘れてしまった場合には、PMIアジアパシフィック・サービスセンターに問い合わせるのみです。日本語の対応ありです。
Loginすると、その人のページに入るので、
【Welcome XXX XXX】が上部に表示されます。
Certification > Maintain your certification : Earn and Report PDUs
例示の場合
この例の場合、必要な60PDUに対して、既に60PDUのアクティビティを登録しているのでその状態がバーチャートに表示されています。左横のステータスには、資格を更新できる状況にあるので≪Eligible to pay≫と表示されています。
さぁ、これでPDUを申請するサイトにはいりました。
※画像は、PMIホームページのものを使用しています。
PDUは、PMIのWEBから申請します。
今回は、申請する機会が多いカテゴリA、REPが実施するPM関係セミナーを受講して得たPDUの申請手順を紹介します。
カテゴリAの場合、REPから受講証明書を受領します。受講証明書に記載してある内容をもとに入力していきます。
ここでは、日本テンステップのプロダクト「エッセンス・オブ・プロジェクトマネジメント」を例に取り上げます。
ここまでの手順は、「PDUの登録-PMI登録のWEBサイトにアクセスしよう」を参照してください。
左側のメニュー「Report professional development units(PDUs)をクリックする。次のような画面となります。
Step 1 画面
PDU category 「PDU category Cat A: Registered Education Provider/PMI Component」を選択します。
Step 2 画面
受講証明書に記載されている「プロバイダーID」・「プログラム名」・「プログラムNo」を入力し、Searchボタンをクリックします。
PMIに登録されているREPには必ずプロバイダーIDが付与されています。
入力の例
Step 3 画面
検索した当該研修が表示されます。
表示された内容を確認してください。
Step 3 画面
該当研修に、学習期間、アクティビティの評価を入力します。
学習期間の記入
アクティビティの評価
Step 4 画面
受講証明書に記載されている学習時間を入力します。
プログラム一部受講の場合
たとえば、集合型研修にて2日間14時間の研修プログラムなのに、1日7時間のみしか受講していない場合には、受講証明書に7時間と記載されています。その場合には7と入力します。
Step 5 画面
申請内容に関する確認が求められます。
以下の記述に合意するチェックをしてnextボタンをクリックします。
この申請をすることにより、私が提示する情報が正確なことを保証します。間違った情報、不正確な情報を提示することの結果、PMI資格の停止、取り消しの処分を受けることを理解しています。
私はこの申請が正確であることに同意します ← チェック
申請した内容が表示されます。
申請が終了すると登録しているEメールアドレスにPMIからメールが届きます。
以上がカテゴリAの申請手順となります。
カテゴリAは、プロバイダID、プログラムIDがすでにPMIに登録されているので、申請がもっとも簡単なPDUの活動です。
※画像の出所は、PMI(R)のWEBサイトです。